今回はユニック車(トラックの荷台にクレーンがある車両)の資格をとるために大阪府四条畷市の大阪特殊自動車学校で技能講習を受けてきました。クレーン車やフォークリフトなどの特殊車両を専門に教育している珍しい自動車学校です。国道163号線沿いにあり、交通の便がよく京都、奈良と多くの受講生が訪れるのだそうです。
アクセス
小型移動式クレーンとは?
一般的に思い浮かべるユニック車は移動式クレーンに分類され、このうち吊り上げ荷重が1㌧以上5㌧未満のクレーンの運転の業務を行うには小型移動式クレーンが必要となり今回の小型移動式クレーン講習を受講し効果測定に合格する必要があります。ちなみにこの制限を解除するためには移動式クレーン運転士免許という国家資格が必要です。
小型移動式クレーンは、比較的小型で、移動が可能なクレーンの一種です。一般的に「ユニック」や「トラッククレーン」として知られており、工事現場や建設現場などで荷物の積み下ろしや移動作業を行う際に使用されます。小型であるため、狭い場所でも使用しやすく、様々な場所で活躍しています。
主な特徴
コンパクトな設計: 小型であるため、狭い場所や制限されたスペースでの作業が可能です。
移動性能: 移動式であり、トラックやキャタピラーのような車両に搭載されているため、容易に別の場所に移動できます。
操作の簡便性: 操作が比較的簡単で、熟練者でなくても扱いやすい設計になっています。
多用途: さまざまな用途(建設、土木、物流、イベント設営など)で使用可能です。
使用例
・建設現場での資材の積み下ろし
・土木作業での機器や工具の移動
・物流センターでの荷物の積み替え
・イベント設営や撤去作業
「小型移動式クレーン運転技能講習」を修了した者のみが操作できるように法的に定められています。この資格を取得することで、安全かつ効率的に小型移動式クレーンを操作することが可能になります。
受講資格・カリキュラム
受講資格
18歳以上であればどなたでも受けることができます。しかし、ユニック車に乗るのであれば中型~大型免許は必須ですね。
カリキュラム
学科13時間 実技7時間 計3日間の講習となっています。既に玉掛技能講習やクレーン・デリック免許等をお持ちの方は学科実技ともに短縮されます。
受講料
私の場合は関係する資格を取得していないので31,200円(テキスト代別1,750円)でした。3日間でこの料金なら安い方ではないでしょうか。
受講申請
- 大阪特殊自動車学校へ電話で予約番号を取得します。
- 次にPC等で大阪特殊自動車学校のホームページにアクセスして受講申込書をダウンロードします。こちらに予約番号のほか必要事項を記入のうえ、写真・免許証のコピーを貼付して 大阪特殊自動車学校へ FAXします。
- その後受講日の10日前までに受講料を振り込むと受講票が送られてきます。
これで受講の準備が整いましたので入校日が来るのを待ちます。
受講1日目
開始時間は9:00からです。初めに担当の講師から注意事項や学校内の施設案内があります。当日は29人の受講生が集まりました。石川県や兵庫県から来られた方もいらっしゃいました。建設現場では必須な資格なので作業着姿の方が多く、話を聞くと皆さん会社負担で受講するそうです。
午前中は【第1章 小型移動式クレーンに関する知識】という分野を学習します。聞きなれない単語が多く不安を感じましたがテストに出そうなポイントを教えてくれるので安心です。とにかくマーキングをしっかりして覚える感じです。
お昼は学校で購入できる仕出し弁当500円(お茶付き)を食べることができます。近くにコンビニはありませんので弁当を持ってこないのであればこちらを食べることになります。 アルバイト時代以来久しぶりの仕出し弁当に懐かしさを覚えます。栄養バランスに優れた弁当はとても美味しかったですね。
午後になり午前の続きと【第4章 関係法令】を学習します。17:10までの講習です途中睡魔に襲われながらも2日目に学科効果測定があるので必死にマーキングします。
無事初日は終了です。
受講2日目
この日は午前中、【第3章 運転に必要な力学に関する知識】を学習します。
午後は【第2章 原動機及び電気に関する知識】を学習します。教本の全4章から30問出題の効果測定にパスしなければなりません。油断せずに休憩時間にポイントをチェックします。
16:20より行われた効果測定の感想は講師が教えてくれたポイントそのままといった感じです。私自身15分ほどで解き終わりましたので、やはりポイントを聞き逃さないことが大切です。
効果測定参考資料
私がメモしたポイントです参考になれば幸いです。
小型移動式クレーン 学科効果測定ポイント 全30問出題 | |
第1章 小型移動式クレーンに関する知識 10問出題 | |
1 | ホイールクレーンの種類(ホイールクレーン・ラフテレーンクレーン)(p.3) |
2 | つり上げ荷重とは:構造および材料に応じて負荷させることができる最大の過重である。(p.8) |
3 | 定格総荷重とは:構造・材料、ジブ長、傾斜角の変化に応じて負荷させることのできる最大の荷重で、フック、グラブバスケット等の吊り具の質量を含んだ荷重である。(p.9) |
4 | 定格荷重とは:定格総荷重からフック、グラブバスケット等の吊り具の質量を差し引いた過重である。(p.9) |
5 | 作業半径とは:クレーンの旋回中心からフックの中心を通る鉛直線までの水平距離をいう。(p.11) |
6 | 作業半径が大きくなると実際の吊ることができる荷重の値は小さくなり、作業半径が小さくなると実際に実際に吊ることができる荷重の値は大きくなる。(p.11) |
7 | ジブの起伏:ジブがその取り付け部を中心として上下に動く運動(傾斜角を大きくすると作業半径は小さくなり、傾斜角を小さくすると作業半径は大きくなる。)(p.12) |
8 | ジブの伸縮:箱型構造のジブを伸ばし、または縮めてジブの長さを変えることをいう。(ジブを伸ばすと作業半径は大きくなり、ジブを縮めると作業半径は小さくなる。また、ジブを伸ばすとフックは上がり、縮めると下がるが、ジブの伸縮にフックが連動して動き、一定の高さを保持するようになっているものがる。)(p.12) |
9 | 旋回とは:上部旋回体が旋回軸を中心に右または左に回転することをいう。(p.12) |
10 | 走行とは:移動式クレーン全体を移動させる運動 (p.12) |
11 | ワイヤロープ普通より:ロープのより方向とストランドのより方向が反対 (p.35) |
12 | 普通よりにもラングよりのどちらにもSとZがある (p.35) |
13 | 普通よりは取り扱いが容易 (p.35) |
14 | ラングよりは耐摩耗性が優れている(p.35) |
15 | ラングよりはロープの自転性が大きく、キンクが生じやすい (p.35) |
16 | 素線切れ:ワイヤロープ1よりの長さの間でフィラー線を除く素線数の10%以上の素線が切断しているものは廃棄処分する。(p.36) |
17 | ワイヤロープの直径の減少が公称径の7%を超えるものは廃棄処分する。(p.36) |
18 | 過負荷防止装置:あらかじめ定められた値(定格総荷重)に近づくと警報を発して運転者の注意を喚起する。また、定格総荷重に達すると自動的に巻き上げ、ジブ下げ・伸ばしの作動ができないようになる。(p.41) |
19 | 巻過防止装置・警報装置:巻き上げ用ワイヤロープを巻き過ぎることによりジブ先端の破損やワイヤロープの損傷を防止するための装置である。(p.45) |
20 | 定格総荷重は作業領域と作業半径の条件が同じであればアウトリガーの引き出し幅によってかわる(p.55) |
21 | 積載型クレーンのアウトリガー設置は前輪が地面から離れない程度に上げて水平に設置する(p.68) |
22 | アウトリガーのフロートにかかる荷重は、ジブの方向によって変化する。(p.69) |
23 | 地切りの時、つり位置が荷の重心から離れるほど荷の振れが大きくなる。(p.73) |
24 | 巻き上げ用ワイヤロープが長いほど、振れ幅が大きくなる。(p.73) |
25 | 急激な起伏や旋回をするほど、振れ幅が大きくなる。(p.73) |
第4章 関係法令 5問出題 | |
1 | 労基法の労働者とは職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。(p.227) |
2 | 事業者はこの節に定める自主検査の結果を記録し、これを3年間保存しなければならない。(p.210) |
3 | 事業者は吊り上げ荷重が1t未満の移動式クレーンの運転の業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に特別の教育を行わなければならない。(p.203) |
4 | 事業者は吊り上げ荷重が1t以上5t未満の移動式クレーンの運転の業務については、小型移動式クレーン運転技能講習を修了した者を当該業務に就かせることができる。(p.205) |
5 | 技能講習修了証を滅失し、または損傷したときは再交付を受けなければならない。(p.192) |
6 | 氏名を変更したときは登録教習機関に提出し、技能講習修了証の書き換えを受けなければならない。 |
7 | 事業者は移動式クレーンにその定格荷重をこえる荷重をかけて使用してはならない。(p.205) |
8 | 事業者は移動式クレーンにより、労働者を運搬し、または労働者を吊り上げて作業させてはならない。(p.206) |
9 | 事業者は移動式クレーンの運転者を、荷を吊ったままで、運転位置から離れさせてはならない。(p.209) |
第3章 運転に必要な力学に関する知識 5問出題 | |
1 | 力=方向+大きさ+作用点(p.143) |
2 | 平行力のつり合い(p.150) |
3 | 作業半径が大きくなると転倒モーメントは大きくなる。(p.148) |
4 | 遠心力は旋回速度の2乗に比例して大きくなる。旋回速度が速くなれば遠心力は大きくなる。(p.160) |
5 | 巻上張力はワイヤーの掛け数で割る。巻き取り長さはワイヤーの掛け数を掛ける。(p.164) |
第2章 原動機及び電気に関する知識 10問出題 | |
1 | ディーゼルエンジンは運転経費が安く故障が少なく、力が大きい(p.104) |
2 | クランクシャフト2回転ごとに1回爆発(p.104) |
3 | オイルは潤滑作用、清掃作用、防錆作用がある。(p.109) |
4 | 油圧装置 長所:過負荷防止が容易 短所:配管が複雑、温度によって機械効率が変化する。(p.115) |
5 | ギヤポンプの特徴 構造が簡単で上部、故障少ない、保守が容易(p.121) |
6 | ピストンポンプの特徴 効率が良い、高圧が容易に得られる、構造が複雑、部品数多い(p.122) |
7 | 安全弁は油圧回路の油圧が設定した圧力以上になるものを防ぐ弁である(p.127) |
8 | 作動油の判別 乳白色・黒褐色・泡立ちの場合は廃棄処分(p.131) |
9 | 電流(I)=電圧(V)/抵抗(R) (p.134) |
10 | 感電 50mA程度 短時間でも生命に関わる(死に至ることがある)(p.135) |
11 | 高圧送電線の場合直接触れなくても放電により感電する(p.135) |
12 | 最小離隔距離 送電圧が高くなれば安全離隔距離が長くなる (p.136) |
最終日(実技)~実技試験
実技講習はこちらの積載型トラッククレーンを使用します。私は玉掛け技能講習を受けていないのでクレーン誘導の合図の教習を一コマ受けてからとなりました。
黄色の吊り荷は質量350㎏でブーム(ジム)の動きによっては揺れが大きくなったりと慣れが必要な操作となります。講師の方は簡単そうに見本を見せてくれましたが私は最後まで慣れませんでした。現場で慣れていくものなのでしょうか。
器用な方は荷ぶれせずに運んでましたね。
講師の方も親切丁寧に教えてくれるので徐々にコツを掴んでいきますのでご安心を!
実技試験では障害物や荷ぶれが大きと減点の対象となってしまいます。
午前、午後とみっちり操作の練習をしていよいよ試験です。順番が近づいてくると緊張で上手くできるか不安で一杯でした。実際のところ試験時は講師の方が横に付いてくれてある程度助言してもらえるので難なく終えることができました。
全3日間の講習が全て終了し、技能講習修了証をいただきました。真面目に受講すれば100%取得できる資格ですので興味のある方は挑戦してみてはいかがでしょうか?私はセンスがないので実際に操作することはないと思いますが物流、建設業界では重宝される資格ですので是非、大阪特殊自動車学校の門を叩いて技能向上に役立てて欲しいと思います。他業種の方の話を聴いたりと、とても楽しい3日間だったので次は玉掛け技能講習、フォークリフトなどにも挑戦していきたいと思います。
今回の小型移動式クレーン講習を通じて、基本的な操作方法から安全管理の重要性まで、多くのことを学びました。講習の中で得た知識と技術は、実際の現場での作業をより安全かつ効率的に進めるための貴重な財産となります。
また、講習を受けることで、日々の業務に対する自信が増し、他の作業員とのコミュニケーションや連携の重要性も再確認することができました。これからも安全第一を心がけながら、学んだことを活かしていきたいと思います。
もしこのブログを読んでいる方が、同様の講習を受けることを考えているなら、迷わず挑戦してみることをお勧めします。新しい知識と技術を身につけることで、自分のスキルアップやキャリアの発展につながるはずです。
ご覧いただき、ありがとうございました。
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