農地法の目的とは
【目的】第1条 この法律は、国内の農業生産の基盤である農地が現在及び将来における国民のための限られた資源であり、かつ、地域における貴重な資源であることにかんがみ、耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も踏まえつつ、農地を農地以外のものにすることを規制するとともに、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進し、及び農地の利用関係を調整し、並びに農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずることにより、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もつて国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする。
つまり、計画的且つ合理的な土地利用により優良な農地を保全するとともに、国民の食料の安定供給を目的としています。
農地法=農地を守るための法律
転用許可が必要な農地とは
許可と届出
農地法の第2条第一項にて農地とは田や畑などの「耕作の目的に供される土地」と謳われています。しかし、現在、耕作に供されていなくても登記上、農地であれば転用許可が必要な農地となります。そして「耕作以外の目的に供される土地」となる事を農地の転用と言い許可申請の必要が生じます。ただし、農業用倉庫のための敷地200㎡未満及び農業用の車両を一時的に駐車する土地等に関しては転用からは除外されています。また、農地の転用の許可ではなく届出よいケースがあります。
市街化区域とされた地域では農地を宅地などに転用することが都市計画法により推奨されているため届出でよいとされています。逆に市街化を抑制する市街化調整区域では当然許可が必要となります。
さらに、転用が難しい農地も存在します。一つ目は青地と呼ばれる農業振興地域内農用地区域内農地で原則転用ができないとされています。二つ目に生産緑地です。三大都市圏の中にある500㎡以上の農地であり、生産緑地法により1992年に指定を受け、環境保全を目的として保全していくとされた農地です。
立地基準
下の表のように、効率よく耕作できるかで農地を五つに区分しています。
農 地 区 分 | 許 可 の 可 否 |
農業振興地域内 農用地区域内農地(青地) | 原則不可 |
甲種農地 | 原則不可 |
第一種農地 | 原則不可 |
第二種農地 | △ |
第三種農地 | ○ |
転用しようとする農地がどの区分に当たるのかはとても重要になります。
農地法許可申請
農地法第3条
【農地または採草放牧地の権利移動の制限】農地であることは変わらず所有権または地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、貸借権もしくはその他の使用および収益を目的とする権利を設定し、もしくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会(設置されていない自治体は市町村長)の許可を受けなければなりません。
権利移動の例
A所有のa農地→B所有のa農地
ABが農業委員会の許可を受ける(原則双方申請)
相続人以外に対する特定遺贈や競売の場合も3条許可が必要になります。
全部効率利用要件
譲受人であるBについてはa農地を耕作できるだけの人員および大農機具(トラクターやコンバイン等)を備えている必要があります。
農作業常時従事要件
権利を取得しようとする者またはその世帯員が、年間150日以上農作業に従事しなければなりません。
下限面積要件
権利を取得しようとする者またはその世帯員が、耕作等に供すべき農地などの面積が定められています。例 奈良県30アール(3000㎡)
令和5年4月から、農地法改正により下限面積要件が廃止されました。
奈良市 | 30アール(3000㎡) |
天理市 | 20アール(2000㎡) 空家付属農地は1アール |
大和郡山市 | 30アール(3000㎡) |
橿原市 | 20アール(2000㎡) |
農地法第4条
【農地の転用の制限】農地を農地以外のものにするものは、政令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。
自己転用とも呼ばれ所有する農地を駐車場や宅地にする場合の許可申請になります。
自己転用の例
A所有のa農地→A所有のa宅地
Aが都道府県知事等の許可を受ける
※市街化区域については農業委員会に届出をすればよい
農地法第5条
【農地または採草放牧地の転用のための権利移動の制限】農地を農地以外のものにするためまたは採草放牧地を採草放牧地以外のものにするため、これらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を設定し、または移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が都道府県知事の許可を受けなければならない。
権利移動を伴う転用の例
A所有のa農地→B所有のa宅地
※市街化区域については農業委員会に届出をすればよい
以上の許可または届出を受けなければ法務局への所有権移転登記などをすることができません。許可、届出をしないで転用することは無断転用となり農地法違反により厳しい罰則の対象となります。
ロードマップ
①メールまたはお電話にてご相談
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②面談の実施
土地全部事項証明書(法務局にて取得) 公図(法務局にて取得)をご用意ください。
※譲渡人が相続されていない場合は相続手続きが必要
※抵当権が設定されていれば抹消するか抵当権者の承諾が必要
➂農業委員会事務局に事前相談
・固定資産税の課税明細書または名寄帳(正確な土地の地番を確認のため)
・法務局にて公図および土地の登記事項証明書(登記簿謄本)
・転用を希望する農地周辺の状況がわかる住宅地図・都市計画図1/2500
上記の資料を持参して窓口へ
④申請前の準備(事前調査)
・確定測量・分筆登記 (境界線が不明な場合、一部の土地だけ転用する場合)
・土地改良区での手続き (受益地からの除外手続き)
・都市計画法上の許可申請 (市街化調整区域の場合)
・道路後退(セットバック)に関する手続き (建築基準法に基づく接道義務関連)
・道路・水路の占有許可申請 排水管・最終枡などの図、写真を添付して役所にて申請
・条例に関する手続き
この時点で見積書を作成します。
⑤申請書および添付書類の作成収集
・許可申請書
・法人の場合は法人の登記事項証明書及び定款又は寄付行為の写し
・土地の位置を示す地図(公図・位置図)及び土地の登記事項証明書
・建物、施設、道路、用排水施設等の位置を明らかにした図面(土地利用計画図等)
・資力及び信用があることを証する書類
・農地を転用する行為の妨げとなる権利を有する者がある場合には同意書
・申請に係る農地が土地改良区の地区内にある場合には、当該土地改良区の意見書
・転用目的の事業、施設の概要、工事計画等
・転用に伴う他法令の許認可等の見込み
・一時転用の場合、農地復元後の営農計画書
・その他参考となるべき書類
⑥申請
⑦現地調査(立会いの場合あり)
⑧許可証の交付
申請から許可が下りるまで概ね1~2か月
⑨転用に着手
⑩完了報告
⑪地目変更登記
料金
申請内容 | 基本報酬 (税 別) | 処理期間 | 申請内容 | 基本報酬 (税 別) |
3条許可 | 40,000円〜 | 約3週間 | 農振除外申請 | 150,000円 |
4条許可 | 90,000円〜 | 約2ヶ月 | 非農地証明 | 40,000円 |
4条届出 | 50,000円〜 | 約1週間 | 土地改良区 除外申請 | 20,000円 |
5条許可 | 100,000円〜 | 約2ヶ月 | ||
5条届出 | 50,000円〜 | 約1週間 |
上記料金は基本報酬となります。※申請・土地面積・筆数、申請関係者人数等により加減措置を取らせていただきます。
また、確定測量費用、開発許可申請、官公庁に納付する手数料、印紙代等の実費が別途発生します。
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