日商簿記3級決算編 学習8日目
8日目は第18章CASE106からCASE113まで進みます。
第18章 精算表と財務諸表
本試験では第3問で財務諸表、精算表、決算整理後残高試算表を作成する決算に関する問題が出題されます。
CASE106 決算手続 p.244
会計期間(通常1年)ごとに決算日を設け、1年間の利益や資産、負債の状況をまとめることを決算または決算手続という。
1. 試算表 2. 決算整理 3. 精算表 4. 損益計算書と貸借対照表 5. 帳簿の締め切り
上記の5つの手順を踏んで決算手続を行います。 1.試算表 2.決算整理については学習済みなので3.精算表から学習していきます。
CASE107 精算表① 現金過不足の処理 p.248
決算において原因が判明しない現金過不足は、雑損(費用)または雑益(収益)として処理
例
決算において、現金過不足(借方)が10円あるが、原因が不明なので、増益または雑損として処理する。
現金過不足を減らすため貸方に記入して借方を雑損とする
(雑損)10 (現金過不足)10
精算表 CASE16を見直そう
勘定科目 | 試算表 (借方) | 〃 (貸方) | 修正記入 (借方) | 〃 (貸方) | 損益計算書 (借方) | 〃 (貸方) | 貸借対照表 (借方) | 〃 (貸方) |
現金 | 300 | 300 | ||||||
現金過不足 | 10 | 10 | ||||||
雑(損) | 10 | 10 |
CASE108 精算表② 当座借越の振り替え p.250
決算日において当座借越が生じている場合は、貸方の当座預金を当座借越(負債)に振り替える
例
当座預金の貸方20円を当座借越に振り替える
(当座預金)20 (当座借越)20
精算表 CASE22を見直そう
勘定科目 | 試算表 (借方) | 〃 (貸方) | 修正記入 (借方) | 〃 (貸方) | 損益計算書 (借方) | 〃 (貸方) | 貸借対照表 (借方) | 〃 (貸方) |
当座預金 | 20 | 20 | ||||||
当座借越 | 20 | 20 |
CASE109 精算表③ 貯蔵品の振り替え p.251
郵便切手や郵便はがき、収入印紙が決算日において残っている場合には、残っている分だけ、通信費(費用)や租税公課(費用)から貯蔵品(資産)に振り替える
例
決算日において切手50円と収入印紙70円分が残っている場合
精算表 CASE60を見直そう
勘定科目 | 試算表 (借方) | 〃 (貸方) | 修正記入 (借方) | 〃 (貸方) | 損益計算書 (借方) | 〃 (貸方) | 貸借対照表 (借方) | 〃 (貸方) |
通信費 | 130 | 50 | 80 | |||||
租税公課 | 100 | 70 | 30 | |||||
貯蔵品 | 120 | 120 |
CASE110 精算表④ 貸倒引当金の設定 p.253
決算において売掛金や受取手形の貸倒額を見積り、貸倒引当金を設定します
例
決算において、売掛金の期末残高について、2%の貸倒引当金を設定する
精算表 CASE63 p.122を見直そう
勘定科目 | 試算表 (借方) | 〃 (貸方) | 修正記入 (借方) | 〃 (貸方) | 損益計算書 (借方) | 〃 (貸方) | 貸借対照表 (借方) | 〃 (貸方) |
売掛金 | 600 | 600 | ||||||
貸倒引当金 | 2 | 10 | 12 | |||||
貸倒引当金 繰入 | 10 | 10 |
600×2%=12なので10追加する
CASE111 精算表⑤ 固定資産の減価償却 p.254
決算において、建物や備品などの固定資産は減価償却を行う
例
決算において、建物について定額法(耐用年数20年、残存価額は0)により減価償却を行う
精算表 CASE67 p.135を見直そう
減価償却費(費用)=(2400-残存価額)/20=120
勘定科目 | 試算表 (借方) | 〃 (貸方) | 修正記入 (借方) | 〃 (貸方) | 損益計算書 (借方) | 〃 (貸方) | 貸借対照表 (借方) | 〃 (貸方) |
建物 | 2400 | |||||||
減価償却 累計額 | 600 | 120 | 720 | |||||
減価償却費 | 120 | 120 |
CASE112 精算表⑥ 消費税の処理 p.257
決算において、仮払消費税(資産)と仮受消費税(負債)を相殺する。差額は未払消費税(負債)として処理
例
決算につき、仮払消費税10円と仮受消費税30円を相殺する
精算表 CASE80を見直そう
勘定科目 | 試算表 (借方) | 〃 (貸方) | 修正記入 (借方) | 〃 (貸方) | 損益計算書 (借方) | 〃 (貸方) | 貸借対照表 (借方) | 〃 (貸方) |
仮払消費税 (資産) | 10 | 10 | ||||||
仮受消費税 (負債) | 30 | 30 | ||||||
未払消費税 (負債) | 20 | 20 |
CASE113 精算表⑦ 費用・収益の前払い・前受けと未払い・未収 p.259
決算において、費用・収益の前払い・前受けと未払い・未収を処理する
例
決算において、支払家賃のうち70円を前払処理する。また、支払利息の未払分4円を未払計上する
精算表 第14章を見直そう
勘定科目 | 試算表 (借方) | 〃 (貸方) | 修正記入 (借方) | 〃 (貸方) | 損益計算書 (借方) | 〃 (貸方) | 貸借対照表 (借方) | 〃 (貸方) |
支払家賃 (費用) | 120 | 70 | 50 | |||||
支払利息 (費用) | 10 | 4 | 14 | |||||
前払家賃 (資産) | 70 | 70 | ||||||
未払利息 (負債) | 4 | 4 |
学習9日目
8日目は第18章CASE114からCASE118まで進みます。
CASE114 売上原価の算定① p.261
期末に残っている商品の仕入原価(期末商品棚卸高)を仕入(費用)から繰越商品(資産)に振り替える
例
自社の当期の商品仕入高は800円であるが、100円は期末現在、未販売である場合
(繰越商品)100 (仕入)100
精算表
勘定科目 | 試算表 (借方) | 〃 (貸方) | 修正記入 (借方) | 〃 (貸方) | 損益計算書 (借方) | 〃 (貸方) | 貸借対照表 (借方) | 〃 (貸方) |
繰越商品 | 0 | 100 | 100 | |||||
売上 | 1800 | 1800 | 1800 | |||||
仕入 | 800 | 100 | 700 |
CASE115 売上原価の算定② p.263
期首に繰越商品(資産)ある場合は仕入(費用)に振り替える
例
期末商品棚卸高は50円だった(当期の仕入高900円、期首商品棚卸高100円)
(仕入)100 (繰越商品)100
(繰越商品)50 (仕入)50
精算表
勘定科目 | 試算表 (借方) | 〃 (貸方) | 修正記入 (借方) | 〃 (貸方) | 損益計算書 (借方) | 〃 (貸方) | 貸借対照表 (借方) | 〃 (貸方) |
繰越商品 | 100 | 50 | 100 | 50 | ||||
売上 | 1800 | 1800 | ||||||
仕入 | 900 | 100 | 50 | 950 |
売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高
よって
売上原価=100+900-50=950
売上総利益=売上高-売上原価
よって
売上総利益=1800-950=850
CASE116 法人税等の計上 p.267
決算において、当期の法人税等の金額が確定したときは、法人税、住民税及び事業税法人税等(費用)を計上する。仮払法人税等があるときは、仮払法人税等(資産)を減らし、確定した法人税等と仮払法人税等との差額を未払法人税等(負債)で処理する
例
決算の結果、法人税等が210円が確定した。中間納付額100円が仮払法人税等として計上されている
(法人税等)210 (仮払法人税等)100
(未払法人税等)110
精算表
勘定科目 | 試算表 (借方) | 〃 (貸方) | 修正記入 (借方) | 〃 (貸方) | 損益計算書 (借方) | 〃 (貸方) | 貸借対照表 (借方) | 〃 (貸方) |
仮払 法人税等 | 100 | 100 | ||||||
法人税等 | 210 | 210 | ||||||
未払 法人税等 | 110 | 110 |
CASE117 当期純利益または当期純損失 p.269
精算表の修正記入欄、損益計算書、貸借対照表を埋めたら、最後に当期純利益(当期純損失)を計算する。損益計算書の収益から費用を差し引いて計算します。
精算表
勘定科目 | 試算表 (借方) | 〃 (貸方) | 修正記入 (借方) | 〃 (貸方) | 損益 計算書 (借方) | 損益 計算書 (貸方) | 貸借 対照表 (借方) | 〃 (貸方) |
○○ | 2000 | |||||||
○○ | 1500 | |||||||
○○ | 500 | |||||||
当期純利益 | 1000 | |||||||
2500 | 2500 |
損益計算書の収益合計2500から費用合計1500を差し引いた1000が当期純利益となる。
CASE118 財務諸表の作成 p.272
損益計算書の作成
一会計期間の収益と費用、当期純利益(当期純損失)を計算した表で会社の経営成績を表す
「仕入」は「売上原価」と記入
「売上」は「売上高」と記入
損益計算書
費用 | 金額 | 収益 | 金額 |
売上原価 | 900 | 売上高 | 1800 |
減価償却費 | 120 | 受取地代 | 60 |
貸倒引当金繰入 | 10 | ||
支払家賃 | 50 | ||
法人税等 | 300 | ||
当期純利益 | 430 | ||
1860 | 1860 |
貸借対照表の作成
決算日における資産・負債・資本(純資産)をまとめた表であり。会社の財政状況を表す
- 貸倒引当金は売掛金の下に記入し、2つを差し引いた額を記入
- 「繰越商品」は「商品」と記入
- 決算整理前の利益剰余金残高に当期純利益を加算して繰越利益剰余金欄に記入
- 減価償却累計額は建物の下に記入し、建物から減価償却累計額を差し引いた額を記入
貸借対照表
資産 | 金額 | 負債・純資産 | 金額 |
現金 | 300 | 買掛金 | 578 |
売掛金 | 600 | 前受収益 | 180 |
貸倒引当金 | 12 588 | 未払法人税等 | 300 |
前払費用 | 70 | 資本金 | 1000 |
商品 | 50 | 繰越利益剰余金 | 630 |
建物 | 2400 | ||
減価償却累計額 | 720 1680 | ||
2688 | 2688 |
学習10日目
いよいよ最終日の10日目は第19章CASE119からCASE122まで進みます。
第19章 帳簿の締め切り
CASE119 帳簿の締め切りとは? p.276
次期の帳簿記入に備えて、帳簿の各勘定を整理することを帳簿の締め切りという
下記の順で進めていく
ステップ1
収益・費用の各勘定残高の損益勘定への振り替え
ステップ2
当期純利益(当期純損失)の繰越利益剰余金勘定への振り替え
ステップ3
各勘定の締め切り
CASE120 収益・費用の各勘定残高の損益勘定への振り替え p.277
帳簿に記入されている当期分の収益と費用を次期に備えてゼロして損益勘定で処理する。
例
決算整理後の収益と費用の残高が次のようだった場合
売上
1200 |
仕入
950 |
受取地代
60 |
支払家賃
50 |
売上等をゼロにするため
(売上)1200 (損益)1200
(損益)950 (仕入)950
(受取地代)60 (損益)60
(損益)50 (支払家賃)50
借方損益計1000 貸方損益計1260
差額260(当期純利益)となる
このように振り替えることを損益振替という
また損益勘定の差額は収益と費用の差額なので当期純利益(純損失)ということになる。
CASE121 p.280
当期純利益または当期純損失の繰越利益剰余金勘定への振り替え P.280
当期純利益は、資本の増加として損益勘定から繰越利益剰余金勘定の貸方に振り替える
例
CASE120は
(損益)260 (繰越利益剰余金)260
となる。これを資本振替という。
CASE122 各勘定の締め切り p.282
収益・費用の締め切り
各勘定の借方合計と貸方合計が一致していることを確認して二重線を引く
資産・負債・資本の締め切り
資産、負債、資本の各勘定のうち、期末残高があるものは次期繰越と金額を赤字で記入して締め切る。また次期繰越の逆側に前期繰越と金額を記入する。
これで一通りの学習は終わりになります。10日間で基本を学習してあとはひたすら問題集でアウトプットあるのみです。ネット試験により気軽に受けられるようになった簿記検定ですので自信が付いたら受けてみてる感じで良いのではないでしょうか。肝心なことは簿記の知識を身につけることです。挫折してしまっては元も子もないです。焦らず簿記を楽しんで学習することをお勧めします。
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