
玉掛けとは

クレーンのフックに荷物を掛けたり外したりする作業のことを玉掛けと呼びます。重い荷物に細いワイヤーを使用すると落下事故などが起きる可能性があります。また、荷物の重心や引っ掛けるバランスを考慮しなければ安全が確保されないでしょう。玉掛け技能という知識は安全に作業するためには必要不可欠な資格となります。
クレーン作業のある現場であれば玉掛け技能資格優遇とされている求人もあります。2~3日で取得できる玉掛け技能講習は、現在、転職を考えていて手に職をつけたい方に最適な資格と言えます。

今回、小型移動式クレーン技能講習に続き1㌧以上の荷物の玉掛け作業に必要な「玉掛け技能講習」を大阪特殊自動車学校で受講してまいりましたので、その模様をお伝えしていきたいと思います。


受講・カリキュラム

無資格者の場合、玉掛け技能講習は学科12H、技能7H、計3日間で行われます。料金は受講料19,000円、テキスト代1,600円になります。私の場合は小型移動式クレーン講習を修了しているので学科9H、技能6H、計2日間に短縮されました。料金は受講料16,500円になり、2,500円ほど安く済みました。

受講申請
受講方法は前回の小型移動式クレーン講習を参照してください。
小型移動式クレーン講習修了者やクレーン、デリックなどの有資格者は予約時にその旨を忘れずに伝えましょう。

受講初日
初日は窓口にて入校受付を済ませます。教本と学校内での注意事項を渡されます。



丸一日、こちらの第5教室で学科講習を受けます。


午前中から「クレーン等の玉掛けの方法」という科目を7H、後半は「クレーン等に関する知識」1H、「関係法令」1Hのカリキュラムです。合計9Hで玉掛けについての知識を深めていきます。

小型移動式クレーンの時と同じで学科試験があります。講師が出題されそうなポイントを教えてくれるのでチェック!!

お昼はセンナリフーズさんの仕出し弁当500円を注文。

このボリュームで500円安いですね。しかもお茶付きです。美味しくて大満足ではありますが午後からの授業が心配です…
check「クレーン等の玉掛けの方法」
この分野から10問出題されます。
1.玉掛けをするつり荷の形状、材質、質量、重心の位置などを確認し、玉掛け用ワイヤロープの掛け方、 つり具の種類を決め、次にロープの長さとロープ径を決める。p12 |
2.「微動巻上げ」の合図で地切りをし、まくらから10~20cm離れたときに 「停止」の合図でいったん停止させる。p22 |
3.つり荷の巻上げ:水平移動する高さは2メートル以上で行う。p23 |
4.玉掛け用ワイヤロープ端末は、加工が圧縮止めやアイスプライスでおこなわれているものがある。p41 |
5.ワイヤロープのより方向とより方:玉掛け用としては「6×24普通Zより」が使われている。p42 |
6.普通よりの長所は、1.キンクしにくい 2.取り扱いが簡単 3.型崩れしにくい ラングよりの長所は耐摩耗性、耐久性が優れている。しかし、キンクが生じやすい。p43 |
7.ベルトスリングには、ナイロンスリング、繊維スリング、帯ロープがある。p45 |
8.クランプには、たてづり用、横づり用がある。p46 |
9.シャックルには、バウシャックル、ストレートシャックルがある。p49 |
10.当てものとは、角ばったつり荷やこわれやすい荷をつるときに、玉掛け用ワイヤロープを保護したり、 つり荷を保護したりするために用いるもの。p52 |
11.棒状のつり荷には、「あだ巻き4本づり」にする。p58 |
12.つり角度は60°以内、4本づりの時は対角線60°以内とする。p60 |
13.張力:つり角度が変わると張力も変わる。30°で1.04倍、60°で1.16倍になる。p60 |
14.アイ掛けの時の注意事項:フックの背面から順番に掛けていく。p76 |
15.一本づりの禁止。p80 |
16.服装:革手袋を着用、玉掛技能講習修了証を携帯する。p82 |
17.玉掛け用ワイヤロープの点検:素線が切れていないか(10%で廃棄) 摩耗していないか(7%で廃棄)。p84 |
18.つりチェーンの点検:亀裂がないか、変形がないか。p85 |
19.玉掛用具の保管:乾燥した場所を選択、日光や雨に当たらないように注意する。p87 |
20.玉掛用具をやむを得ず屋外に保管する場合は地面から20~30cmほど離す。p87 |
check「クレーン等に関する知識」
こちらからも10問の出題です。
1.移動式クレーンとは原動機を内蔵し、かつ、不特定の場所に 移動させることができるクレーンをいう。p31 |
2.天井クレーン p33 |
3.橋形クレーン p34 |
4.ジブクレーン p34 |
5.移動式クレーン:トラッククレーン、ホイールクレーン、クローラークレーンがある。 p35 |
6.走行:クレーンや移動式クレーン全体を移動させる運動をいう。p37 |
7.起伏:ジブがその取り付け部を中心にして上下に動く運動をいう。p37 |
8.作業半径:旋回中心とつり具の中心を通る鉛直線上との間の水平距離をいう。 p38 |
9.つり上げ荷重:負荷させることができる最大荷重、つり具の質量も含む。p38 |
10.定格荷重:つり上げ荷重からつり具の質量を差し引いた荷重をいう。p38 |
11.巻過防止装置 p39 |
12.過負荷防止装置 p39 |
13.外れ止め装置: 安全装置の一つである。p39 |
check「関係法令」
ここからは5問出題されます。
1.つり上げ荷重 1トン以上は玉掛け技能講習を修了した者 1トン未満0.5トンは特別の教育。p5 |
2.事業者は玉掛け技能講習を修了した者でなければ1トン以上の玉掛作業に就かせてはならない。p5 |
3.技能講習修了証を滅失し、または損傷したときは、交付を受けた登録教習機関に提出し、 再交付を受けなければならない。p9 |
4.運転の合図:事業者は、クレーンを用いて作業を行うときは、クレーンの運転について一定の合図を定め、 合図を行う者を一人指名して、その者に合図を行わせなければならない。p13 |
5.玉掛用ワイヤロープの安全係数は6以上の p15 |
6.作業開始前の安全点検 p17 |
受講2日目
二日目は朝の8:00から学科試験です。昨晩のcheckポイント復習が功を奏したのか10分もかからずに終了しました。講師の話しを聴いていれば落とす試験ではないように感じました。
9:00からは実技6Hのはじまりです。はじめに説明や見本を見せてくれはしますが覚えることが多く間違いの連続でした。講師も少しあきれ気味でしたが根気よく教えて頂いた結果、徐々に上達していきました。
ちなみに玉掛け作業の実施要領は下の写真になります。中央の青い文字が呼称になって大きな声で言わなければなりません。


一連の流れの中で的確な合図をクレーンオペレーターに伝えて作業を行います。

お昼になってやっと落ち着けます。昨日に引き続きセンナリフーズさんの仕出し弁当です。相変わらずボリュームで大満足!! 午後からの実技講習に備えます。

16時頃から試験です。玉掛け作業だけではなくつり荷の目測なども試験科目になります。計算機を持って体積、比重などを考慮して質量を計算します。

不慣れな事が続きバテバテになっていましたが共に受講した方たちの助けを借り何とか試験をパスすることができました。皆さん本当にありがとうございました。

2~3日間で取得できる玉掛け技能講習ですが、安全に従事するために必要な知識と技能が習得できる貴重な体験をすることができました。

今回、一緒に受講した皆さんへ、ここで習得した知識を活かし、安全な作業で労働災害の防止に努めていただきますようお願い申し上げます。
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